道と庭のあいだに、通り土間をつくる|細長い敷地を活かす住まい方

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ブログ

みなさん、こんにちは。
大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


今日は、庭間の家(大阪府貝塚市/2017年竣工)を事例に、「通り土間」の魅力について書いてみます。


細長い敷地や変形敷地で家を考えるとき、悩みになりやすいのが、
「庭をどこに取るか」「道路からの視線をどう受け止めるか」「家の中に光と風をどう入れるか」。
この3つは、互いに関係していて、どれかだけを解決しようとすると、もう一方が苦しくなります。


そこで庭間の家では、道と庭の“あいだ”に、通り土間をつくりました。
廊下のようでいて、ただの廊下ではない。玄関の延長のようでいて、玄関だけでもない。
通り土間は、敷地条件を前向きに変えてくれる「暮らしの装置」になります。



道と庭のあいだに“余白”をつくる


庭間の家は、道路と水路に挟まれた細長い敷地に建つ木造2階建ての住まいです。
敷地が細長いと、道路側に開くほど気配が入りやすくなり、閉じるほど光や風が入りにくくなる。

この矛盾をほどくために、道路側にすぐ居室を置くのではなく、まず通り土間を挟みました。
通り土間があることで、道路の人通りや車の気配を一度受け止め、家の中に“距離”をつくれます。

この距離は、単に視線を遮るためだけのものではありません。
暮らしの中に「外の気配を扱える余白」が生まれることで、家の中が落ち着いてきます。




細長い敷地は、動線が“強み”になる


敷地が細長いと、動線が長くなりがちです。
でも見方を変えると、その長さは「気配をつなぐ線」になります。

庭間の家では、1階にLDKと水まわり、2階に個室とセカンドリビングを配置し、
通り土間が階段室も兼ねながら上下階をつないでいます。

ここで大事なのは、通り土間を“通るだけ”にしないこと。
風の通り道になり、光の入り方を調整し、家族の動きを受け止める。
細長い敷地の「どうしても長い」は、設計次第で「気持ちいい」へ変わります。


プライバシーを守りながら、光と風を取り込む


通り土間は、人通りが多い道路との緩衝空間として機能します。
室内を直接道路に向けないことで、暮らしの輪郭が守られます。

そのうえで、通り土間を介して光と風を取り込む。


外に対して閉じるのではなく、“受け止めて整える”という考え方です。

細長い敷地は、採光や通風が「足し算」ではうまくいかないことが多いです。
窓を増やすほど落ち着かなくなる場合もある。
通り土間のような中間領域を挟むと、開き方に選択肢が生まれます。



通り土間は、庭間へ抜けていく


庭間の家の通り土間は、南側の庭とLDKの間につくった半屋外の居間「庭間」へと空間が抜けています。
視線の先には、シンボルツリーのヤマボウシ。

この“抜け”があることで、通り土間が暗く閉じた通路にならず、奥行きを持った場所になります。
家の中にいながら、庭の明るさ、木の気配、季節の変化が自然と入り込んでくる。

境界を曖昧にする、というと少し抽象的ですが、
ここで言いたいのは「外が近くなる」のではなく、「外との距離がちょうどよく整う」ということです。



通り土間があると、暮らしの受け皿が増える


通り土間がある家は、暮らし方の幅が増えます。

・帰宅してすぐ、室内に持ち込みたくないものを一旦置ける
・子どもが外で遊んだ気配を、家の中に引きずらずに済む
・雨の日の濡れ物、庭仕事の道具、自転車やベビーカーなどの居場所ができる
・人を迎えるとき、玄関だけで完結しない“間”が生まれる

生活の道具や気配は、ゼロにはできません。
だからこそ「受け止める場所」をつくっておく。
通り土間は、暮らしを無理なく整えてくれます。


細長い敷地で大切なのは、“庭をつくる順番”


細長い敷地では、庭を「余った場所」にすると、どうしても窮屈になりがちです。
庭間の家では、敷地の使い方として先に庭を考え、そこに向かって家を組み立てています。

その結果、
通り土間 → 庭間 → 庭
という流れができ、道と庭のあいだに豊かなグラデーションが生まれました。

庭を“眺めるだけ”ではなく、暮らしと連続させる。
そのための手前の装置として、通り土間が効いてきます。



まとめ:通り土間は、条件を「魅力」に変える


細長い敷地や変形敷地は、制約が多いように見えます。
でも、道と庭のあいだに通り土間をつくることで、

・道路の気配を受け止めて落ち着く
・光と風の取り込み方を調整できる
・庭へ抜ける奥行きが生まれる
・暮らしの道具や気配を受け止められる

という、敷地条件を魅力に変える可能性が出てきます。

庭間の家は、守られながらも開放的な住まいを目指して計画しました。
細長い敷地でも、発想を少し変えるだけで、庭を楽しむ暮らしは十分に実現できます。


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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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