みなさん、こんにちは。
大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。
自然素材の話になると、よく聞くのがこの一言です。
「無垢床って、メンテナンスが大変そうで…」
結論から言うと、自然素材は“手入れがゼロ”ではありません。
でも設計者としての本音は、むしろ逆です。
自然素材の手入れは、家を“新品のまま守る”ためというより、
暮らしの時間を気持ちよく重ねるための、付き合い方に近い。
今日は「大変そう」という不安に正面から答えつつ、自然素材が愛され続ける理由も一緒にまとめます。
「メンテが大変」って、何が大変?
不安の正体はだいたいこの3つに分かれます。
- 汚れやすい(シミ・黒ずみが出そう)
- 傷つきやすい(凹み・欠けが気になる)
- 手入れ方法が難しそう(専用道具が必要そう)
ここで大切なのは、自然素材が“弱い”というより、工業製品の感覚で「ずっと同じ顔でいてほしい」と期待してしまうこと。
自然素材は、時間を受け止めて表情が変わります。そこが魅力でもあります。
自然素材の魅力は「触れた瞬間」と「暮らし始めてから」両方ある
自然素材を選ぶ理由は、見た目の雰囲気だけではありません。
1)触感がいい(毎日触れるから効いてくる)
床、手すり、カウンター。家の中で一番触れる場所ほど、質感の差が暮らしに残ります。
木のあたたかさ、足裏の柔らかさ、ひんやりしにくさ。
これは写真では伝わりにくいけれど、暮らしの満足度に直結します。
2)光の受け方がきれい
漆喰の壁は、光を柔らかく受け止めます。
ツヤを反射するというより、面全体がふわっと明るくなる感じ。
朝と夕方で室内の印象が変わり、空気が少し整って見えることがあります。
3)時間が味方になる
工業製品は、綺麗なうちは強いけれど、傷や欠けが出た瞬間に「劣化」に見えやすい。
自然素材は、多少の傷やムラが入っても、全体として“馴染んでいく”ことが多いです。
新品のピークが最初ではなく、暮らしながら良くなる感覚があります。
設計者の本音:自然素材は「手がかかる」より「手が入れやすい」
自然素材は、いざという時に“戻す手段”があります。
- 無垢床は、削ったり、部分補修ができる
- 漆喰や土壁は、部分的に補修できる
- 木部は、オイル等で表情を整えられる
つまり「汚れない」「傷つかない」ではなく、
汚れても傷ついても、暮らしに合わせて整え直せるという安心感がある。
ここが、設計者として自然素材をすすめたくなる理由です。
素材別:不安への答えと、魅力が続く付き合い方
1)無垢フローリング:傷はつく。でも“暮らしの粒”になる
無垢床は、多少の凹みや傷は避けられません。
ただ、それは欠点というより、暮らしの記録が刻まれる素材です。
現実的な対策はシンプルで十分です。
- 椅子脚にフェルト(これは効果が大きい)
- 水は“置かない”(こぼしたら拭く、でOK)
- 大掃除のときに固く絞った布で拭く
そして、全体が気になってきたら節目で整える。
毎年頑張るというより、数年単位で“整える日”をつくるイメージが合います。
2)漆喰・土壁:割れはゼロにするより、綺麗に付き合う
漆喰は割れます。
ただし、設計と下地の考え方で「出方」をコントロールできます。
- 大きな一枚壁は避け、壁の区切りや見切りを計画する
- 開口やコーナー周りの納まりを丁寧にする
- 施工者と“割れを怖がりすぎない”合意をつくる
漆喰の魅力は、完璧な均一さではなく、
光を柔らかく受け止める面の美しさと、空気感です。
小さな割れは“失敗”ではなく、素材の性質として受け止められると気持ちが楽になります。
3)木部(羽目板・造作):色が変わるのが怖い?むしろそれがいい
木は日焼けや手垢で色が変わります。
でもその変化は、空間を落ち着かせ、住まいを“自分の場所”にしてくれます。
日常は乾拭きで十分。
気になる時だけ、薄くオイル等で整える。
強い洗剤を使わない、これだけ守れば大きく困ることは少ないです。
自然素材は万能じゃない。でも「使い方」でちょうどよくできる
正直、自然素材を家中にフル投入しなくてもいいと思っています。
- 汚れやすい水回りは、掃除のしやすい素材にする
- 触れる場所(床・手すり・カウンター)に自然素材を寄せる
- 空気感が欲しい場所(LDK・寝室)に漆喰を使う
自然素材は、ポイント使いでも魅力が十分出ます。
「手入れの負担」と「心地よさ」のバランスを、設計で整えるのが現実的です。
まとめ:自然素材は「家が好きになる理由」を増やしてくれる
自然素材は、確かにメンテナンスが必要です。
でもその手間は、家を遠ざけるものではなく、家との距離を近づけるものでもあります。
触れたときの気持ちよさ。
光のやわらかさ。
時間が経つほど馴染んでいく表情。
「メンテが大変そう」で止まってしまうのはもったいない。
自然素材は、住まいに愛着を育てるための、強い味方になります。
もし「自然素材が気になるけど不安もある」という方は、
暮らし方に合わせて、どこに使うか・どう納めるかを一緒に整理していきましょう。
“頑張らなくても続く自然素材”の選び方があります。
I Live|田辺弘幸建築設計事務所
田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ
設計事例はこちらをご覧ください
大阪・岸和田の設計事務所 I Live | 田辺弘幸建築設計事務所は、『住まいに愛着を』をコンセプトに、住まうごとに味がでる家づくりを目指しています。
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