家づくりコラム16:建てる前に知っておきたい、設計事務所の仕事の流れ

query_builder 2026/01/26
ブログ


みなさん、こんにちは。

大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


今日は 家づくりコラム16:建てる前に知っておきたい、設計事務所の仕事の流れ というテーマで書いてみます。

設計事務所に家づくりを頼む、となると「かっこいい図面を描いてくれるところ」というイメージが先に立つかもしれません。でも実際は、図面は“結果”であって、そこに至るまでの 整理・判断・調整・確認 が仕事の中心です。


「いつ、何を決めるのか」がわかると、家づくりはぐっとラクになります。今日は、建てる前に知っておきたい“流れ”を、できるだけ実務に沿ってまとめます。





設計事務所の仕事は「図面」だけじゃない



まず最初にお伝えしたいのは、設計事務所の仕事は大きく分けるとこの3つです。


  • 設計:暮らしの要望を、敷地条件と予算に収まる“かたち”へ翻訳する
  • 調整:法規・構造・設備・性能・コストなど、現実と整合させる
  • 監理:現場で図面通り・意図通りにつくられているかを確認する



この3つがつながって、はじめて「住まい」が立ち上がります。

では、時系列で見ていきます。





① 相談〜初回面談:ここで“方向”が決まる


最初は雑談のような話から始まります。

「どんな暮らしがしたいか」「何が好きで、何が苦手か」。このあたりが家の性格を決めます。


このタイミングで設計事務所側が見ているのは、要望そのものよりも、


  • その要望の優先順位
  • 譲れない“核”はどこか
  • 予算感と現実の距離感



です。

ここが曖昧なまま進むと、後で必ず迷子になります。逆に、核が見えると判断が速い。





② 敷地・条件整理:プランの前に“土台”を固める



敷地が決まっている場合は、測量図や周辺状況、法規条件を整理します。

プランを描く前にやることが、意外と多いです。


  • 法規(用途地域、建ぺい率・容積率、高さ制限、斜線など)
  • 近隣状況(視線、騒音、風、光の入り方)
  • 地盤や高低差、排水、前面道路
  • インフラ(上下水・ガス・電気の条件)



ここをすっ飛ばして描いたプランは、だいたい後で崩れます。

だからこそ「気持ちいい案」より先に「成立する条件」を押さえる。これが設計事務所の仕事です。





③ 基本設計:暮らしの“骨格”をつくる時期


ここからいよいよプラン検討に入ります。

基本設計は、ざっくり言うと 暮らしの骨格を決める工程 です。


決めていくのは例えばこんなこと。


  • 部屋の配置とつながり(動線・家事・子育て)
  • 採光や通風、外との距離感
  • ボリューム(大きさ、高さ、屋根)
  • 仕上げや素材の方向性(好きな空気感)
  • だいたいのコスト感(予算との整合)



ポイントは、ここで“全部を決めない”こと。

逆に言うと、「後で詰められる余白」を残しながら、骨格だけはブレないように固めるのが基本設計です。





④ 実施設計:図面が“建てられる情報”になる



基本設計がまとまったら、実施設計へ。

ここからは、図面が一気に“現場の言葉”になっていきます。


  • 平面・立面・断面の精度が上がる
  • 納まり(どう作るか)を詰める
  • 仕上げ表、建具表、設備計画などが具体化する
  • 構造・設備の専門家と整合を取る



この段階は「設計事務所の図面が細かい」と言われがちですが、細かいのには理由があります。

現場で迷わないため、そして 見積がブレないため です。





⑤ 見積〜調整:金額は“削る”より“整える”



実施設計が進むと、工務店さんに見積を取ります。

ここで大事なのは「見積が出た=完成」ではなく、むしろここからが本番、という感覚です。


  • 抜けや重複がないか
  • “一式”の中身が妥当か
  • 仕様と金額のバランスは適正か
  • 予算に対して、何を守るべきか



減額は我慢大会にしない。

削る前に、優先順位を守りながら“整える”。ここは設計事務所が伴走する価値が出るところです。





⑥ 確認申請:手続きは「図面の最終チェック」



確認申請は、ざっくり言うと「法律に合っているかを確認してもらう手続き」です。

この時点で図面が整っていないと、申請も工事も止まります。


申請は工務店さんが行うケースもありますが、設計側は


  • 法規条件の整合
  • 図面内容の精度
  • 変更点が出た時の整理



を担い、スムーズに“着工できる状態”に整えます。





⑦ 着工〜工事監理:ここからが「意図が形になる」時間



いよいよ工事が始まります。

設計事務所の仕事は終わり…ではありません。むしろここからが大事。


  • 現場で図面通りに出来ているか確認する
  • 納まりの判断が必要な時に、意図を守る選択をする
  • 変更が出た場合、全体への影響を整理して判断する
  • 施主さんの意思決定をサポートする(色・素材・照明など)



仕上げのタイミングほど、見えない部分の確認が効いてきます。

“監理”は、現場を疑う仕事ではなく、完成の質を守る仕事 です。





⑧ 完成〜引き渡し:最後は「暮らしに手渡す」



完成検査、是正、書類の整理、設備の取扱説明。

ここまで終わってようやく引き渡しです。


設計側としては、引き渡しはゴールというより「スタート」。

住まいは、暮らしの中で育っていくものだからです。





まとめ:流れがわかると、家づくりは落ち着く



設計事務所の仕事の流れを一言で言うなら、

「暮らしの願いを、成立する形に整えて、現場で守りきる」 です。


家づくりは、決めることが多くて当たり前。

でも、いつ何を決めるかが見えていれば、必要以上に焦らなくていい。


これから家を建てる方にとって、この“地図”が少しでも役に立てば嬉しいです。




次回のコラムも、家づくりの判断がラクになる話を書いていきます。




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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


設計事例はこちらをご覧ください


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