スキップフロアのある住まい。高さがつくる、いくつもの居場所

query_builder 2026/07/13
ブログ

みなさん、こんにちは。
大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に「住まいに愛着を」をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。

今回は、スキップフロアのある住まいについて書いてみたいと思います。

スキップフロアというと、空間に変化をつけるための手法として見られることが多いかもしれません。

もちろん、床の高さが変わることで、空間にリズムが生まれます。
ただ、住宅の設計で大切なのは、見た目の面白さだけではありません。

床の高さや壁の位置を少しずつ調整することで、ひとつながりの大きな空間の中に、いくつもの居場所をつくることができます。

ダイニング、キッチン、くつろぐ場所、外の景色。

それぞれが緩やかにつながりながら、風景と混ざりあうような開放的な空間になります。

半階上がるだけで、景色と居心地は変わる

半階上がるだけで、同じ家の中の景色と居心地は大きく変わります。

この住まいでは、スキップフロアで半階上がった場所にリビングを設けています。

床の高さが少し上がることで、リビングには少し浮いたような感覚が生まれます。
視線の高さが変わることで、窓の向こうに広がる景色の見え方も変わり、眺望を楽しめる場所になります。

同じ家の中にありながら、少し特別な場所。

ダイニングやキッチンとはつながっているけれど、床の高さが違うことで、落ち着いてくつろげる場所にもなっています。

完全に部屋として仕切るのではなく、
でも、すべてを同じ床の高さにするのでもない。

その中間のような距離感が、スキップフロアの面白さだと思います。



低い空間は、庭との距離が近くなる

一方で、天井高を抑えた低い空間は、お庭との距離がぐっと近くなります。

高い天井の開放感とは違い、少し包まれるような落ち着きがあります。
窓の外にある庭の緑が身近に感じられ、室内にいながら外の気配を近くに感じることができます。

上では遠くの景色を楽しみ、
下では庭の緑を近くに感じる。

同じ住まいの中でも、高さの違いによって、外との関係は変わります。

スキップフロアは、ただ床に段差をつける設計ではなく、景色との関係や居心地の違いをつくるための設計でもあります。



壁で分けすぎず、居場所をつくる

家の中にいくつもの居場所をつくろうとすると、部屋を細かく分ける方法もあります。

ただ、壁で仕切りすぎると、空間は小さく分断されてしまいます。
光や風、視線の抜けが途切れてしまい、家族の気配も感じにくくなることがあります。

この住まいでは、床の高さや壁の位置を少しずつ調整することで、空間をゆるやかに分けています。

ダイニングにいる人。
キッチンに立つ人。
リビングでくつろぐ人。
庭や外の景色を眺める人。

それぞれの居場所がありながら、完全には切り離されていない。
気配はつながり、視線も抜けていく。

ひとつながりの大きな空間の中に、いくつもの過ごし方が生まれます。

広さだけでなく、居心地の種類を増やす

家づくりでは、「広いLDKにしたい」というご要望をよくいただきます。

もちろん、広さは大切です。
ただ、面積を大きくすれば、それだけで豊かな空間になるわけではありません。

大切なのは、その空間の中でどう過ごせるか。

同じ広さでも、床の高さ、天井の高さ、壁の位置、窓の取り方によって、居心地は大きく変わります。

半階上がったリビングには、眺望を楽しむ浮遊感が生まれます。
天井高を抑えた低い空間には、庭との距離が近い落ち着きが生まれます。

空間を大きくするだけでなく、
居場所ごとの豊かさをつくる。

それも、住まいを設計するうえで大切にしていることです。



スキップフロアは、暮らしに合ってこそ


もちろん、スキップフロアがどんな住まいにも合うわけではありません。

段差があるということは、日々の移動や将来の暮らし方についても考える必要があります。
小さなお子さんがいる場合や、高齢になった時のこと、掃除のしやすさ、家具の置き方など、気をつけるべき点もあります。

だからこそ、見た目の面白さだけで取り入れるものではありません。

敷地の条件。
家族の暮らし方。
外の景色。
光の入り方。
それぞれの居場所の関係。

そうしたことを丁寧に読み解いたうえで、段差が暮らしの負担ではなく、豊かさになるかを考えることが大切です。

スキップフロアは、床の高さを少し変えることで、暮らしの見え方を変えてくれます。

遠くの景色を楽しむ場所。
庭の緑を近くに感じる場所。
家族の気配を感じながら、少しだけ落ち着ける場所。

ひとつながりの空間の中に、いくつもの居場所がある住まい。

そんな暮らしの豊かさを、床の高さや壁の位置を少しずつ調整しながらつくっています。


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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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