建築家住宅はもっと限られた人のものになってしまうのか

query_builder 2026/03/08
ブログ

みなさん、こんにちは。

大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。

昨日、今日と、アーキソシエイツの「建築家住宅展」に出展しています。

アーキソシエイツは、建築家紹介サービスとして、家づくりを考える方と登録建築家をつなぎ、その後も伴走しながらプロジェクトを進めていく仕組みです。

クライアントは複数の建築家の中から自分に合う人を選ぶことができ、建築家との家づくりに興味はあるけれど、誰に頼めばよいか分からないという方にとっては、一つの出会いの場になっています。

私自身、岸和田や南大阪では住宅のご相談をいただくことがありますが、それ以外の地域ではまだまだこれからです。

そういう意味でも、新たなお客様と出会える機会になればと思い、今回参加させていただいています。

こうしたイベントの魅力は、お客様との出会いだけではありません。

出展している他の建築家の方々と、今の状況について率直に話せることも、大きな価値の一つだと感じます。

実際に話していて強く感じたのは、みなさん悩みがかなり共通しているということでした。

まず一番大きいのは、やはり工事費の上昇です。

住宅の相談そのものがかなり減っていること。

進行中の案件も、予算調整に時間がかかり、さらに法改正の影響もあって、以前よりも計画がまとまるまでに時間を要すること。

そして住宅の割合が減る中で、事務所や施設、店舗など、非住宅の比率が増えていること。

それぞれの地域や事務所で状況は少しずつ違っても、大きな流れとしてはかなり似ているように感じました。

少し前までは、いわゆる普通のサラリーマン世帯の方でも、建築家と一緒に家をつくるという選択が現実的なものでした。

若手建築家にとっても、そうした住宅やリノベーションは大切な主戦場でしたし、工夫を重ねながら、限られた予算の中でも良質な住まいをつくることができました。

もちろん当時も決して安い買い物ではありませんでしたが、それでも「建築家住宅」は、特別な一部の人だけのものではなかったように思います。

けれど今は、その感覚がかなり変わってきています。

以前であれば、坪単価80万円くらいがひとつの目安で、かなり割り切った計画であれば60万円台からでも可能性がありました。

それが今では、最低でも坪100万円くらい、少しこだわりを持って考えると坪120万円くらいから、という感覚になっています。

そうなると、どうしても建築家と家をつくることができる人は限られてきます。

ローコストの建売住宅か、高価格帯の注文住宅か。

その間にあったはずの、「少し背伸びをしながら、自分たちらしい住まいを建築家と一緒につくる」という層が、薄くなってきているように感じます。

それは、建築家住宅が贅沢品になっていく、ということでもあります。

もちろん、丁寧に設計された住宅には価値があります。

敷地を読み、暮らし方を整理し、光や風、視線、素材、動線を整えながら、その家族に合った住まいをつくることには、今も大きな意味があると思っています。

ただ一方で、それが一部の富裕層だけのものになってしまうとしたら、建築家の役割は少し狭くなりすぎるのではないか、とも感じています。

本来、建築家の仕事は「高い家をつくること」ではなく、「限られた条件の中でも、よりよい暮らしを形にすること」のはずです。

予算が限られていても、敷地条件が厳しくても、暮らしに合った答えを探し、無理なく、でも豊かに住める家を考える。

そこにこそ、設計の面白さや社会的な意味があるのではないかと思います。

だからこそ今は、限られた方のための特別な住宅だけではなく、もっと普通の方に向けたスタンダードな住宅のあり方を、建築家自身が考えていく必要があるのではないでしょうか。

それは、単にコストを下げるという話ではありません。

何にお金をかけて、何を整理するのか。

どこを標準化し、どこにその家らしさを残すのか。

設計の自由度を保ちながら、現実的な価格帯にどう着地させるのか。

そうしたことを、これまで以上に真剣に考える時期に来ているように思います。

建築家住宅が、もっと限られた人のものになってしまうのか。

今回の住宅展に参加して、そんな危機感をあらためて強く持ちました。

でも同時に、その流れをただ受け入れるのではなく、今の時代に合った新しい“建築家のスタンダード”を考えていくこともできるはずです。

普通の人にとっても手が届き、でも画一的ではなく、きちんと暮らしに寄り添った住まい。

そういう住宅の可能性を、これからも探っていきたいと思います。

住宅のつくり方が大きく変わってきている今だからこそ、建築家の役割もまた、問い直されているのかもしれません。



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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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