流通材と大工の力でつくる建築|高橋勝さんの住まいのメソッド

query_builder 2026/02/28
ブログ

みなさん、こんにちは。
大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に「住まいに愛着を」をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


昨日は仕事を少し早く切り上げて、「住まいのメソッド~CASE_01 高橋勝建築設計事務所~」を聞きに行ってきました。


会場は、高橋勝さんが設計を手掛けられた β本町橋。都市の中心部に建つ、耐火木造の建築です。実際にその空間に身を置きながらお話を聞けたことで、建築そのものと設計の考え方の両方を体感できる、とても贅沢な時間でした。


まず印象に残ったのは、β本町橋の成り立ちです。河川敷という敷地条件から、基礎をできるだけ小さくする必要があり、構造の選択肢としては木造か軽量鉄骨造に限られていたとのこと。その中で木造を選ばれた背景には、単なる構造形式の選択以上に、建築のあり方への明確な意思が感じられました。


また、延焼のおそれのある部分を避けて建物を配置することで、開口部を防火設備にする必要がなくなり、結果としてとても魅力的な開口部が実現されていました。法規をただ制約として受け止めるのではなく、敷地条件や配置計画の工夫によって、空間の質へとつなげていく。その設計の組み立て方に、大きな学びがありました。


内部空間もとても印象的でした。柱や梁には石膏ボードで耐火被覆を施した上で、仕上げとして木を貼ることで、木質の架構がしっかりと空間を規定しています。一方で、内部はフレキシブルに使えるよう計画されていて、さまざまな利用形態に対応できるつくりになっていました。構造が空間の骨格をつくりながら、使い方は固定しすぎない。そのバランスがとても心地よく感じられました。


そして講演の中で語られた住宅作品の話も、とても魅力的でした。高橋さんは京都を拠点に活動されていて、自然を住空間に取り込む設計がとても印象的です。焼杉や瓦といった伝統的な素材を用いながら、風景に向かって大胆に開く空間は、素朴さと力強さが同居していて、とても惹かれました。


特に心に残ったのは、「特殊な材料を使うのではなく、流通材で、大工さんの力でつくることができるシンプルな架構を目指す」という考え方です。できるだけローテクにしていくことで、構成はシンプルになり、手数も少なくなる。その結果としてコストを抑えやすく、しかも美しくなる。さらに、メンテナンスもしやすい。華やかな仕掛けではなく、建築の基本的な組み立てを丁寧に考えることで、長く使える建築になるのだと感じました。


新しい技術や特別な素材に目が向きやすい時代ですが、流通材を使い、地域の職人の技術で、無理なくきちんとつくる。そうした建築のあり方には、これからの住まいづくりにおいて大切なヒントがたくさんあるように思います。


シンプルであること、ローテクであることは、決して後ろ向きな選択ではなく、むしろ建築を素直に、美しく、長く使えるものにしていくための強さなのだと、あらためて感じる講演でした。

とても勉強になる、良い時間でした。


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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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