「家づくりコラム17:無垢床を選ぶ理由|既製フローリングとの違い」

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みなさん、こんにちは。

大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


今回は 「家づくりコラム17:無垢床を選ぶ理由|既製フローリングとの違い」。

床は毎日、足裏で触れる素材です。だからこそ、見た目以上に「触感」「音」「時間の重なり方」が暮らしの質を左右します。床に迷ったら、まず無垢床を検討してほしい。無垢は、住まいに愛着が育つ条件をつくりやすい素材だと感じています。





0. まずは言葉の整理:無垢床と複合フローリングとは?



「無垢」「フローリング」と一口に言っても、中身のつくりが違います。ここを押さえておくと、迷いが減ります。



無垢床とは



一本の木から切り出した“木そのもの”を床材にしたものです。表面だけでなく中身まで同じ材なので、触感や香り、木目の表情がそのまま出ます。

木は湿度で伸び縮みするため、季節によってわずかな隙や反りが出ることもありますが、それも含めて「木と暮らす」素材です。



複合フローリング(既製フローリング)とは



合板などの基材の上に、薄い化粧材(突板やシート)を貼った床材です。製品として寸法安定性が高く、床暖房対応など選択肢も豊富。

一方で、表面の層が薄いタイプは、深い傷が入ると下地が見えることがあり、直し方の考え方が無垢とは変わります。


※複合フローリングには、表面が“本物の木の薄板(突板)”のものもあれば、“木目柄シート”のものもあります。同じ複合でも質感や耐久性は幅があります。





1. 無垢床の魅力は「触れてわかる質感」にある



無垢床は、写真やカタログでは伝わりにくい良さがあります。実際に暮らし始めると、身体がいちばん最初に気づくのが床です。


  • 冬にヒヤッとしにくい
  • わずかな柔らかさがあって、長く立っていても疲れにくい
  • 足音が落ち着き、空間が静かに感じられる
  • 表面のムラや木目が、均一すぎない心地よさになる



「素足で過ごしたい」「家で落ち着く時間を増やしたい」方にとって、床の体感は想像以上に効いてきます。





2. 無垢床は、時間が“味”になる



無垢床は傷が入ります。これは避けられません。

ただ、その傷が“欠点”として目立ち続けるのではなく、暮らしの痕跡として馴染んでいく。ここが大きい。


子どもがおもちゃを落とした跡。椅子の脚の小さなへこみ。

新品を守るより、「暮らしが乗っていく」方向に振り切れると、家が家らしくなります。


完成した瞬間がピークではなく、住みながら落ち着き、艶が出てくる。無垢床には、そんな“時間の出方”があります。





3. エコの観点でも、無垢は扱いやすい



エコは「自然素材だから」という単純な話ではなくて、長く使えるか、手を入れながら延命できるか、という視点が大事だと思っています。


無垢床は、


  • 傷が入っても、手入れしながら使い続けやすい
  • 表面を整える・塗り直すなど、暮らしの中で更新できる
  • 経年変化が“劣化”ではなく“深まり”として見えやすい



張り替え前提の素材というより、付き合い方を覚えることで寿命を伸ばせる素材。こういう“循環”の乗せ方ができる点が、無垢の強さだと感じています。





4. 複合フローリングとの違いは「傷の見え方」と「直し方」



複合フローリングは、寸法が安定していて管理がしやすく、製品としての選択肢も豊富です。

一方で、複合フローリングも経年劣化しますし、傷がつきにくいタイプがあっても、傷がつかないわけではありません。


そして、傷が深く入ると


  • 表面の層を超えて 下地の合板が見えてしまう ことがある
  • 無垢のように「削って整える」「部分的に手入れする」が難しい場合がある
  • 直し方が“補修”より“張替え”に寄りやすいこともある



ここを理解しておくと、「住んでからの想定外」が減ります。





5. 無垢床の選び方:樹種と仕上げでストレスは減らせる



無垢床の“向き不向き”は、無垢かどうかより、樹種と仕上げで決まることが多いです。



樹種(ざっくり傾向)



  • 杉・パインなど針葉樹:足ざわりがやさしい/へこみやすい
  • オーク・ナラなど広葉樹:硬めで傷が入りにくい/表情がしっかり



素足の心地よさを優先するなら針葉樹、傷の入りにくさを優先するなら広葉樹。家族構成や椅子の使い方で相性が変わります。



仕上げ(考え方)



  • オイル仕上げ:木の触感が残る/部分的に整えやすい
  • ウレタン塗装:汚れに強い/触感は均一になりやすい



無垢の質感を活かしたいなら、オイル系のほうが“木を触っている”感覚が出やすいです。





6. 床暖房がある場合は、考え方を少し変える



床暖房を入れると、無垢床は選択肢が限られやすく、製品単価も上がりがちです。

対応材であること、樹種、厚み、施工条件などが揃ってはじめて成立します。


だからこそ、床暖房がある場合は、


  • 無垢の採用範囲を整理する(場所を選ぶ)
  • 床暖房に頼りすぎない空調計画・断熱計画を整える
  • 対応無垢材の中で、無理なく続けられる仕様を選ぶ



といった “住まい全体での整理” が効いてきます。





7. 無垢床で後悔しないための現実的な心得



最後に、無垢床を気持ちよく使うための前提を3つだけ。


  1. 傷は入る(ただし馴染む)
  2. 完璧に保つのではなく、整えながら使う
  3. 樹種と仕上げで、ストレスはかなりコントロールできる






まとめ:無垢床は、住まいに愛着が育つ入口になる



無垢床の価値は、性能の優劣だけでは測れません。

触感がよく、時間が味になり、手を入れながら長く使える。暮らしの積み重ねが、そのまま空間の表情になります。


床は家のベースです。迷ったら、まず無垢床のサンプルを素足で触れてみてください。暮らしのイメージが一段クリアになります。

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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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