家づくりコラム11:実施設計図書とは?|正確な見積もりを取るための図面

query_builder 2026/01/14
ブログ


みなさん、こんにちは。

大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


前回は、基本設計について「家の骨格を固める工程」としてお話ししました。

今回はその次の段階、実施設計についてです。


基本設計で家の骨格が固まってくると、次に気になってくるのが工事費です。

ただ、工事費は「ざっくり」ではなく、できるだけ根拠をもって把握しておきたい。

そのために重要になるのが、今回のテーマである実施設計図書です。





実施設計図書とは?



「実施設計図書」とは、工事の実施に必要で、施工者が見積書・施工図を作成するために必要な情報を備えた設計図のことです。

図面の情報量が揃うほど、見積の前提が整い、金額のブレが小さくなります。

また、仕様や納まりまで整理されることで、工事が始まってからの「想定外」が減り、追加・変更が起きにくくなるのも実施設計の大きな価値です。


基本設計が「家の骨格を固める工程」だとすると、

実施設計はその骨格に対して、工事に必要な情報を揃え、現場の不確定要素を減らしていく工程です。





図面の情報量が、見積の“根拠”になる



見積もりは、施工者さんが図面から数量を拾い、仕様を読み取り、金額に変換する作業です。

つまり、図面に書いていないことは、どうしても「想定」になってしまいます。


たとえば、見積の精度に直結するのはこんな項目です。


  • 断熱の種類・厚み・施工範囲
  • サッシの性能、色、ガラス仕様、網戸の扱い
  • 床・壁・天井の仕上げ(材種、品番、施工方法)
  • 建具(既製品か造作か、サイズ、金物、枠の納まり)
  • キッチンや造作家具の範囲とグレード
  • 照明・スイッチ・コンセントの数と位置
  • 外壁の仕様、下地、防水、役物、塗り分け
  • 外構の範囲(どこまで工事に含めるか)



図面が薄いままだと、これらが「施工者さんの想定」に委ねられ、後から「それは別途です」「想定より増えます」が起きやすい。

実施設計図書は、そうした“想定”を減らして、見積を積み上げられる状態にするためのものです。





実施設計で“不確定要素”を減らす



実施設計で一番大事なのは、何かを「増やす」ことではなく、工事に入る前に不確定要素をできるだけ減らすことだと考えています。


不確定要素が残ったままだと、現場では判断が増えます。

判断が増えるほど、手戻りや追加・変更が起きやすくなり、結果として工期やコストにも影響が出やすい。


だから実施設計では、次のような点を丁寧に揃えていきます。



1)寸法の不確定要素を減らす



部屋の大きさだけでなく、壁厚、天井高さ、段差、開口の位置など、施工に直結する寸法を整理します。

「ここに収納が成り立つか」「この家具が入るか」といった判断も、現実の寸法として固まります。



2)仕様の不確定要素を減らす



床・壁・天井の仕上げ、設備機器、造作家具の範囲や仕様を具体化します。

“同じように見える仕上げ”でも、樹種やグレード、施工方法で金額や納まりは変わります。

仕様が揃うほど、見積もりも工事も読みやすくなります。



3)納まりの不確定要素を減らす



建具枠と壁の取り合い、見切りの入れ方、外壁とサッシの関係、水回りの防水など、細かな納まりを整理します。

納まりが詰まっているほど、現場判断が減り、追加工事の発生も抑えられます。



4)構造の不確定要素を減らす



実施設計では、意匠図だけでなく構造図も整ってきます。

柱・梁・耐力壁の位置やバランス、基礎の考え方などが具体化されることで、意匠と構造のズレが減り、現場での無理がなくなります。

この整理ができているほど、工事中の調整が少なく、結果としてスムーズに進みます。





実施設計図書に含まれる図面(代表例)



事務所や案件によって差はありますが、実施設計図書には一般的に次のような図面が揃っていきます。


  • 配置図・平面図(詳細寸法入り)
  • 立面図・断面図
  • 仕上表(床・壁・天井の仕様一覧)
  • 建具表(サイズ・種類・ガラス・金物など)
  • 詳細図(納まりの拡大図)
  • 構造図(基礎伏図、梁伏図、耐力壁・金物など)
  • 設備図(電気・給排水・換気など)
  • 照明・スイッチ・コンセント計画図
  • 外構図(工事に含める場合)



ポイントは、図面が“ある”ことではなく、図面同士が矛盾なく整っていること。

これが揃うと、施工者さんも計画を立てやすくなり、結果として見積もりも工事も読みやすくなります。





実施設計図は、工事を安心して進めるための土台になる



実施設計図書が整うと、見積は「ざっくり」から「積み上げ」へ変わります。

そしてそれは、単に金額の話ではなく、工事を安心して進めるための準備でもあります。


  • 工事範囲が明確になり、途中で話がズレにくい
  • 仕様が整理され、現場判断が減る
  • 納まりが決まっていて、手戻りが起きにくい
  • 構造が整理され、意匠とのズレが起きにくい



こうした下地があるほど、工事はスムーズになり、結果として「追加・変更が少ない現場」につながります。





まとめ



  • 実施設計図書は、施工者が見積書・施工図をつくれる情報を備えた設計図
  • 実施設計の目的は、工事前に不確定要素を減らし、想定外を起きにくくすること
  • 仕様や納まり、構造まで整理されることで、工事中の追加・変更が起きにくくなる
  • 実施設計は、工事を安心して進めるための土台づくりでもある



次回は、ここまで整えたうえでの

「見積もりはどこに取る?相見積もりか特命か」

について、考え方を整理していく予定です。




「図面がどの段階なら見積に進めるのか」

「実施設計でどこまで決めれば良いのか」

そんなときは、状況を整理するところから一緒に考えます。お気軽にご相談ください。




----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------

I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


設計事例はこちらをご覧ください


大阪・岸和田の設計事務所 I Live | 田辺弘幸建築設計事務所は、『住まいに愛着を』をコンセプトに、住まうごとに味がでる家づくりを目指しています。
お問合せはメール、電話等でお気軽にご連絡お願いします。
------------------------------------------------------------------------------
I Live | 田辺弘幸建築設計事務所

電話番号 072-447-5330
営業時間 9:00~17:00
定休日  土・日・祝(打合せは可能です)
大阪府岸和田市磯上町6-12-11
ilive.arch@gmail.com
インスタグラムはこちら←Follow me!
------------------------------------------------------------------------------


----------------------------------------------------------------------

NEW

VIEW MORE

CATEGORY

ARCHIVE

TAG