アルファヴィル展「ブリコラージュ・シティ」へ

query_builder 2026/04/30
ブログ

みなさん、こんにちは。
大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


先日、ギャラリー日本橋の家で開催されている、アルファヴィル展「ブリコラージュ・シティ」に行ってきました。


会場となっているギャラリー日本橋の家は、安藤忠雄さんによる建築です。


街中に建つ細長い建物で、外観からもその存在感が伝わってきます。大きなガラス面を持ちながら、周囲の建物に挟まれるように立っていて、都市の中にすっと差し込まれたような建築でした。



内部に入ると、コンクリート打ち放しの空間が縦方向に展開していきます。


階段や吹き抜け、光の入り方、少し閉じたようでいて上へ上へと抜けていく感覚。安藤さんの建築らしい緊張感がありながら、ギャラリーとして使われていることで、人の動きや展示物が加わり、少しやわらかい空気も感じられました。


今回の展示では、そのコンクリート打ち放しの空間に、角材で組まれた什器が設えられていました。


この什器がとても面白かったです。


きっちりと完成された家具というよりも、仮設的でありながら力強く、展示物を支えるための骨組みのような存在でした。そこに模型や写真、図面が掛けられ、建築の断片が立体的に重なって見えてきます。


コンクリートの硬質な空間に、木の角材が加わることで、素材の対比も生まれていました。


重く静かなコンクリート。
軽やかに組み替えられそうな木の什器。


その関係性が、展覧会のタイトルである「ブリコラージュ・シティ」とも重なって感じられました。


ブリコラージュという言葉には、あり合わせのものを組み合わせながら、新しいものをつくっていくような意味があります。


都市もまた、最初から完成されたひとつのものではなく、時代ごとに建物が建ち、使われ方が変わり、隙間に新しい活動が生まれながら、少しずつ姿を変えていきます。


アルファヴィルの建築には、そうした都市の中での建築のあり方を感じました。


建物が強く主張しすぎるのではなく、都市や環境に馴染みながらも、その場所が持っている可能性を新たに顕在化させる。そんな建築の姿勢が、展示全体から伝わってきました。


そして、こうした展示がギャラリー日本橋の家で継続的に開かれていることにも、大きな意味を感じます。


建築は、建てられた瞬間だけで完結するものではありません。
使い続けられ、手を入れられ、ときには開かれながら、その場所の価値を育てていくものだと思います。


ギャラリー日本橋の家のオーナーである金森さんが、この建築を大切に守りながら、さまざまな展示や人が集まる場として開き続けておられることには、本当に頭が下がります。


建築を所有するだけでなく、文化の場として育てていく。
それは簡単なことではありません。


維持管理のこと、運営のこと、展示を企画し続けること。
その積み重ねがあるからこそ、私たちはこの建築を体験し、そこで行われる展示に触れることができます。


建築の価値は、設計者だけでつくられるものではなく、使い続ける人、開き続ける人によっても育てられていくのだと、改めて感じました。


今回の展示を見ていると、建築を「形」として見るだけでなく、都市の中でどのように振る舞うのか、場所とどのような関係を結ぶのかという視点の大切さを改めて感じました。


また、展示空間そのものも印象的でした。


ギャラリー日本橋の家という建築の中に、アルファヴィルの建築作品が並ぶ。そして、それを角材の什器がつなぎ、コンクリートの空間と呼応する。


展示されている建築を見るだけでなく、展示されている場所も含めて体験するような時間でした。


図面や模型、写真を見ることはもちろん楽しいのですが、それ以上に、建築と建築が重なる場に身を置くことの面白さがありました。


自分自身の設計でも、建物がその場所にどう馴染むのか、そして馴染みながらも、その場所の魅力をどう引き出せるのかは、いつも考えていることです。


強く目立つことだけが建築の役割ではありません。


けれど、ただ背景に消えてしまうのでもない。その場所にあることで、周囲の見え方や使われ方が少し変わる。人がその場所に立ち止まったり、視線を向けたり、また来たいと思ったりする。


そういう建築のあり方に、改めて惹かれました。


アルファヴィル展「ブリコラージュ・シティ」は、会期が延長され、5月末までの土日に開催されているとのことです。


建築に興味のある方はもちろん、都市や場所の使われ方に関心のある方にも、ぜひ見ていただきたい展示でした。


建築を見ることは、単に建物を見ることではなく、街の見え方を少し変えてくれる体験でもあります。


今回の展示も、そんなことを感じさせてくれる時間でした。

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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


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