予算内で「愛着」は作れる。建築家が教える、コストをかける場所・抜く場所

query_builder 2026/02/05
ブログ

みなさん、こんにちは。

大阪・岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに活動している I Live|田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。


家づくりの相談でよく聞くのが、こんな声です。

「打合せを重ねるほど理想が増えて、気づいたら予算オーバーしていました」

「どこを削って、どこを守ればいいのか分からない…」


結論から言うと、予算内で“愛着のある家”はつくれます。

ただし、そのコツは「全部を良くしようとしないこと」。

限られた予算の中では、“効くところ”にお金を集めて、他は整える——このメリハリが一番効きます。


この記事では、設計の実務でよく使う「コストをかける場所/抜く場所」の考え方を、できるだけ分かりやすく整理します。





なぜ予算オーバーは起きるのか(多くは“足し算”の連続)



注文住宅の予算オーバーは、派手な一発で起きるというより、

「ちょっと良いもの」を足し算し続けた結果として起きることが多いです。


  • キッチンをグレードアップ
  • 照明もこだわりたい
  • 造作家具も付けたい
  • 収納も増やしたい
  • 外構もそれなりに…



どれも正しい希望なのですが、全部を同時に叶えると当然コストは膨らみます。

だからこそ最初に、“家の価値を決める芯”をどこに置くかを決めておくのが大切です。





予算内で愛着をつくる「3つの優先順位」



私は減額調整に入る前に、まずこの3つを整理します。



1)毎日触れるところ(体感の記憶になる)



家の印象は、写真よりも「触った感覚」「歩いた感覚」が残ります。

だから、ここはコストをかけた分が暮らしの満足に直結しやすいです。


  • 床(足裏で感じる)
  • ドアノブや取っ手(手が覚える)
  • 水栓やスイッチ(毎日使う)
  • 椅子に座ったときのテーブル高さ、カウンターの手触り



「高級にする」というより、触れたときに気持ちいいを守る。

それが“愛着”の近道です。



2)居場所が決まるところ(暮らしの中心になる)



家の満足は、「どんな仕上げか」よりも

どこに居場所があるかで決まりやすいです。


  • 日中いちばん長くいる場所の窓と光
  • リビングの一角の“落ち着ける”席
  • ダイニングの居心地(照明位置・天井高さ・音の反響)



ここは「材料を豪華にする」より、寸法と配置で勝てることが多い。

工夫でコストを抑えながら、満足度を上げやすいポイントです。



3)将来変えにくいところ(後から直すと高い)



ここは、予算が厳しくても“守る”優先度が高いです。


  • 断熱・気密の考え方
  • 窓の性能・配置(特に西日・隣家との距離)
  • 雨仕舞・納まり(メンテに直結)
  • 配線やコンセント計画(住んでから地味に効く)



「今は見えないけど、住んでから効く」ところですね。





ここはかけると効く:コストを“集めたい”ポイント



ここからは具体的に「かける場所」を挙げます。

全部じゃなくていいので、自分の家の“核”に近いものを選ぶのがコツです。



床:毎日、足が触れる「家の面積最大の素材」



床は面積が大きく、体感の差が出やすい。

無垢材が好きなら、豪華さよりも「樹種と仕上げ」「暮らし方に合う硬さ」を合わせるのが大事です。


  • 全部を無垢にせず、LDKだけ無垢にして効果を出す
  • 子ども部屋は将来変更しやすい仕上げにする、など




取っ手・水栓・スイッチ:満足度のわりに予算を守りやすい



驚くほど費用差が出にくいのに、使うたびに気分が変わるのがこのあたりです。


  • 触り心地
  • 回しやすさ
  • 形の収まり(出っ張りが少ない、など)



小さな部品ですが、愛着の“入口”になりやすいです。



窓の考え方:大きさより「位置」と「切り取り方」



窓は大きいほど良い、ではなくて

“見せたい景色・入れたい光”を選ぶことが大切です。


  • 朝が気持ちいい席に、朝日が入る窓を
  • 隣家が近いなら、正面ではなく上から光を入れる
  • 夏の西日を避ける配置にする



窓は後から変えにくいので、ここは丁寧に決めたい部分です。





ここは抜いても大丈夫:コストを“整えて抑える”ポイント



「抜く」というより、やり方を整えるイメージです。

安くするために我慢するのではなく、合理的に整理していきます。



仕上げの種類を増やしすぎない



種類が増えるほど、施工の手間が増え、見切りも増えます。

結果としてコストが上がりやすい。


  • 床材は2〜3種類に抑える
  • 壁仕上げも“基準を決める”(基本は塗装/基本はクロス、など)



仕上げの統一は、空間もきれいにまとまります。



造作を「全部」やらない



造作家具や造作洗面は魅力がありますが、

全部やると当然コストは膨らみます。


おすすめは、“効く一箇所”だけ造作にするやり方です。


  • 洗面は造作、収納は既製品で整える
  • 玄関のベンチだけ造作、など




形をシンプルにする(実は一番効く)



工事費に効くのは、仕上げよりも「形」です。


  • 凹凸が少ない
  • 屋根形状が素直
  • 構造がきれいに通る



これは“削る”というより、最初から無理のない形で計画することが、結果的に予算を守ります。





予算調整でやってはいけないこと:愛着を削る削り方



最後に、これは避けた方が良いという例です。


  • 毎日触れる部分だけがチープになってしまう
  • 断熱や窓の考え方を後回しにして、住んでから不満が出る
  • 仕上げを削ったのに、納まりが複雑なままで工事費が下がらない



減額は「我慢大会」ではなく、優先順位の整理です。

ここがブレると、金額は下がっても満足が下がりやすい。





まとめ:お金のかけ方で、家の“好き”は育つ



予算内で愛着をつくるコツは、シンプルです。


  • 毎日触れるところにお金を集める
  • 居場所(光・窓・寸法)で満足度を上げる
  • 将来変えにくいところは守る
  • それ以外は、種類を減らして整える



全部を最高にしなくてもいい。

“ここが好き”がいくつかある家は、ちゃんと愛着が育ちます。


もし今、見積が膨らんで迷っているなら、

「どこにお金を集めると、この家らしくなるか」から一緒に整理してみてください。



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I Live|田辺弘幸建築設計事務所

田辺 弘幸(たなべ ひろゆき)
昭和56年12月12日生まれ
一級建築士
大阪府岸和田市生まれ


設計事例はこちらをご覧ください


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