みなさん、こんばんは。大阪、岸和田、南大阪、和歌山を拠点に『住まいに愛着を』をコンセプトに、住まうごとに味がでる家づくりを目指している　I Livel田辺弘幸建築設計事務所の田辺です。

本日、「海南の家」を訪れました。今回は子供部屋に間仕切りを設けるための工事でしたが、現地に着くとまず目に飛び込んできたのは、春の陽気に包まれた庭の風景でした。

南側の緩やかな斜面には、タイムの花が満開。淡いピンク色が帯のように広がり、足元にはたくさんの小さな命の芽吹きを感じます。その他にもいくつもの花が咲き、季節の移ろいがそこかしこに現れていました。

リビングの下にある「石の間」から眺める庭も、また格別です。天井高は抑えられた空間ですが、そのぶん地面に近く、足元から伝わる空気感が違います。洗濯物を干したり、トレーニングをしたりと、日常の中に自然と寄り添う場となっており、暮らしと外とのつながりを感じられる場所です。

海南の家では、建物と庭、そして周囲の風景とのつながりを大切にしています。建物の高さや軒の出、窓の位置や大きさは、そこからどんな風景が見えるかを考えながら決めました。室内にいながら、外の季節や気配を感じられること。そこに、この家の豊かさがあります。

再訪のたびに、庭は少しずつ成長しています。建築が完成してからも、こうして季節ごとの表情に出会えるのは、設計者として本当に嬉しい瞬間です。

春の光と風に包まれながら、家も、庭も、そしてそこに住まう人の暮らしも、ゆっくりと育っていくのを感じた一日でした。