大阪府岸和田市/工房兼ショールーム/2024年竣工
弥栄神社の鳥居の側に建つアイアン家具の工房兼ショールームです。紀州街道と参道が交わる角地という特性を活かし、建物は街に開かれた構成となっています。祭礼の際には、2面に設けたバルコニーから賑わうだんじり祭りを眺めることができ、だんじり祭りの際は特等席になります。
外観は、左官仕上げの無機質な外壁に、温かみのあるレッドシダーの板張りをアクセントとして加えています。堅牢でありながらも周囲の街並みに調和し、訪れる人々に親しみやすさを感じさせる仕上がりです。このデザインが、『SAKIGAKE Style』の職人としての誇りと、地域とのつながりを大切にする姿勢を映し出しています。
1階の工房スペースは、天井を高くとり、ハイサイドライトから柔らかな自然光を取り入れる設計としています。壁には黄緑色の塗装を施し、空間全体に明るく柔らかな印象を与えることで、働く人々が快適に過ごせる環境を目指しました。女性にも働きやすい雰囲気をつくり、ものづくりの創造性が引き出される空間となっています。
2階のショールームでは、階高を抑えながらも勾配天井を用いることで、開放感を生み出しています。ここでは、実際の生活空間を想起させるスケールでアイアン家具を展示しており、訪れた人々が暮らしの中に溶け込む家具の姿を具体的にイメージできる場となっています。
また、ドアの引手や手すり、流し台、テーブルなどの細部には真鍮やアイアンを用い、職人の手で丁寧に製作されたオリジナルデザインを採用しています。こうしたディテールへのこだわりは、空間全体に一体感をもたらし、訪れる人々に『SAKIGAKE Style』のものづくりへの情熱を感じさせます。
『SAKIGAKE Style』では、家具のオーダーメイドにも対応しており、お客様のライフスタイルや空間に合わせた一品一品を丁寧に作り上げます。工房で製作されるアイアン家具は、単なる家具ではなく、住まいの一部として生活に寄り添う存在であることを目指しています。
所在地:大阪府岸和田市八幡町
設計監理:I Live 田辺弘幸建築設計事務所
施工:岩上工務店
構造規模:木造二階建
写真:長岡写真事務所 長岡浩司