春木旭町の家
大阪府岸和田市/住宅/2020年竣工
「春木旭町の家」は、商店街にほど近い角地に建つ、家族の暮らしと地域のつながりを大切にした住宅です。外観は白壁と木材、ガルバリウム鋼板の組み合わせによるシンプルなデザインでありながら、温かみのある雰囲気を醸し出しています。ウッドデッキや前庭を少し奥まった位置に配置し、道路からの距離感を生むことでプライバシーに配慮しつつ、外観に奥行きを与えました。玄関へのアプローチには割栗石とオリーブの木を用い、小さな緑の中に季節の変化を感じられる工夫を施しています。
リビングは、梁を現しとすることで天井が高く、より開放的な空間となっています。壁には調湿・消臭効果のある珪藻土を用い、床にはナラの無垢フローリングを採用することで、自然素材がもたらす柔らかさと温かみが感じられる空間に仕上げました。また、リビングの外には屋根付きのウッドデッキを設け、少し奥まった配置によりテラスのような空間を実現。光と風をリビングに取り入れると同時に、まちと住まいの中間領域としても機能しています。
キッチン周りにはモールテックスを施し、意匠性と耐水性・耐久性を兼ね備えた仕上げとなっています。この薄く強靭な塗材により、カフェのような落ち着いた雰囲気が漂うキッチン空間が広がります。また、玄関土間に面するキッチンカウンターは、家族や来客が自然と集う場となり、開放的で明るい空間づくりに寄与しています。
パントリーにはお施主様のこだわりが反映され、アール型の開口部と華やかなアクセントクロスが配されました。このデザインが空間に彩りを添え、使うたびに楽しい気持ちにさせてくれます。さらに、クローゼットの内部には柄入りのクロスを大胆に取り入れ、シンプルな空間に遊び心を添えています。飽きのこないデザインと、さりげないアクセントのバランスが心地よく、住む人にとって「発見」がある空間となっています。
「春木旭町の家」は、素材の温かみを活かした居心地の良い空間と、お施主様の想いが詰まったデザインが魅力です。家族が集い、地域とつながりながら、四季の移ろいを感じるこの住まいは、長く愛され続けることを期待しています。
所在地:大阪府岸和田市
設計監理:I Live|田辺弘幸建築設計事務所
施工:株式会社中川建設
構造規模:木造二階建
写真撮影:長岡浩司